2024/04/01
岡山は3月30日にソメイヨシノが開花。里山が鶯声に包まれ、山ツツジが色を添える季節となりました。さて、本日4月1日は嘘をついても良い日です。由来は不明。イギリス発祥説、フランス説、インド説などいろいろあるらしいです。仏教では心がけるべき最も基本的は戒律(五戒)として不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒が挙げられています。不妄語とは「嘘は言うな」ということです。法事で唱えますね。では仏教では嘘は禁じられているのかというと、「嘘も方便」です。仏の道を正しく理解するには嘘があってもよいという趣旨でしょうか。一般には「嘘をつくことは良くないが、物事をスムーズに運ぶためには必要なこともある」と説明されています。最終目的が正しければ、嘘の利用もあり得るということ。子供の悪さをたしなめるのに「お巡りさんに捕まるぞ」とか脅すようなことでしょう。法華経では「家が火事(火宅)なのに気付かず遊ぶ子供を助けるのに、外に子どもの好きな車があると叫んで脱出させた」逸話が記されています。嘘ではないけど、「頑張ったら良い結果が出るよ」との励ましを確たる根拠無しに言うのも、思いが籠っていれば、言われた人の勇気が増し、身体能力が高まり、最終的に試合に勝てたり、合格したり、病気が改善したり、、、結果オーライです。エイプリルフールの嘘は、結果的に笑えて皆がハッピーに感じられる内容が期待されていますヨ。1日だけなので、深く考えてしまう人があっても、通常あと腐れは無いのです。
ところで、残念なことに世間には笑えない嘘が氾濫しています。オレオレ詐欺、フィッシング詐欺、フェイクニュース、投資詐欺。飲食店、商品の口コミが“サクラ” だったり中傷だったり。学歴、経歴詐称とかも最近耳にしました。等身大の自分に自信持てばいいのに。直近では機能性表示食品で腎障害が多発してしまいました。これは嘘というより事故かもしれませんが、国のお墨付きに偽りありです。お偉いさん達による「知らない、記憶にない」の連発は現在進行中です。嘘でなく本当に記憶がないのならばもっと大変。物忘れ人は車の免許返上が決まり。国のかじ取りは任せられません。“美しい国”を創造すべき次世代の若者たちに悪い見本を示す罪も大きい。
なお、エイプリルフールの邦訳は四月馬鹿です。自分が馬鹿だと思うと、謙虚になり、風景が輝きを増し、周囲に感謝の念が沸いて、元気が出ます。つい先日、ラグビー日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏が「勝利は一瞬。達成したと思わず謙虚でいれば、向上心を維持できる」という趣旨の話しておいででした。深い。わが国では昔から「賢は愚にかえる」、「大智は愚のごとし」など、覚者の“愚”を良しとする風土があります。小林一茶は還暦で「春立つや 愚の上に又 愚に返る」と詠みました。自己愛の強いパワハラ系の人とは真逆の姿勢です。功利を目指して「知らない、落ち度はない」など小賢しく振舞う姿勢は、一時的に皆を煙に巻くことができても世界を変えることは出来ません。“愚”の世界は宇宙を包括して広大、かつ、まったり暖かです。こんな世界に道を開く「平成之大馬鹿門」はなぜ撤去されてしまったのかなあ。確か、仏教系の大学なのに。ダジャレっぽいネーミングが権威にそぐわなかったか。
馬鹿な話にお付き合いいただきました。賢明な皆様方、4月1日に免じてどうぞご容赦くださいマセ。