岡山市中区江崎の岡山脳神経内科クリニック|脳神経内科・内科

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台風10号

8月は、超ノロノロの迷走台風10号とともに過ぎました。いや、9月1日現在、まだ紀伊半島沖をウロウロしており、過ぎ去ってはおりません。ここ岡山では、当初の予定よりも3日ばかり影響が遅くなった挙句、雨らしい雨も、風もなく過ぎました。他地域での大雨の影響で交通が乱れたのが最大の被害かも。新幹線での東京行きを予定していた友人は、乗車直前に運休となり、あわてて飛行機の便を探しました。週末のイベントが中止となり、予定が変わってしまった人も多かったことでしょう。私も会合が消えました。これも人生。

自然災害が少ない岡山ですが、それでも台風シーズンには大雨、洪水が発生します。河川べりの洪水危険地帯で育ったので、梅雨と台風、年に2シーズンは洪水に脅かされていた私。避難所生活も経験しました。ダムの放水を告げるサイレンの音が、トラウマになっています。そういう訳で、大学生になり、街中に住むようになると、台風はさほど脅威ではなくなりました。激しい風、大雨は、安全圏にいる限り、変化をもたらす天恵。しぶきをあげて荒れ狂う濁った流れも、窓を揺るがす大風も、天空を引き裂く雷鳴も、見方を変えると感動の体験。先日、災害の発生した浜松で市長さんが「台風が近づくと高揚する」と発言して顰蹙を買いました。非常事態には身体が身構え、ノルアドレナリンがたくさん出ます。重大な惨事の予感があれば不安、恐怖が勝りますが、それ未満なら、高揚感に包まれるのは当然。難事に対応するための心身の準備状態ですから。気合が入っている証拠です。

さて、今回は雨台風なのでさほどでもありませんが、通常の台風一過。散り敷いた木の枝や葉っぱを避けて歩きながら仰ぐ街は、洗われたように輝いて見えます。水が引いた後の川原を渉猟し、変わった地形や漂着物を探検するのも楽しみでした。わが国では「嵐の前の静けさ」ですが、英語圏では「嵐の後の静けさ;After a storm comes a calm.」とも言い慣わされています。私には「台風一過」の方が、明るく、澄んだ感じです。台風の古語「野分(のわき)」に対応するイメージ。”野分”は美しい言葉です。最近は温暖化のせいか、降り方も吹き方も、段違いに激しくなり、毎年どこかで“百年に1度の大雨”が降りそそぎ、洪水、土砂災害が頻繁に生じるので、のんびりと感慨に耽けっている訳にはいかなくなりました。平成30年の西日本豪雨時にはパーキンソン病の学会で京都に居ましたが、土砂降りで、街中にはタクシーもありませんでした。帰路も新幹線は走らず、高速道路も閉鎖。やむなく仲間でレンタカーを借り、被災した山道を恐る恐る運転して、なんとか辿り着いたのを思い出します。安全第一、最大限の努力で災害に備えたいです。