岡山市中区江崎の岡山脳神経内科クリニック|脳神経内科・内科

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食べて、動いて、笑う

この3つのキーワードはパーキンソン病の患者さんが病気と付き合う上で私が大切と思うポイントです。栄養と、運動(感動)、そして前向きな気持ちと言い換えてもいい。動きやすくするために薬を使うし、リハビリも奨めます。でも、この3つは病気を持つ人に限らず、皆さんが健康生活を長く楽しむためにも重要です。経験的に、昔からそう伝えられて来ました。例えば古代ギリシャ。医療の神アスクレピオスを祀った神殿には健康に暮らすためのお薦めを挙げた中に、“楽しい環境、適当な食養生、運動”を加えています。わが国では貝原益軒が健康長寿の秘訣を記した養生訓にて “バランスのとれた食事と適度の運動、良質な睡眠、ストレスは避けて心を穏やかに保ち、楽しみを持って過ごす”と記載しています。儒学者ながら医学の心得もあった益軒。当時としては長命な84歳没です。辞世の句「越し方は一夜ばかりの心地して八十あまりの夢をみしかな」も味わい深い。わが国で百歳健康長寿者2851人の健康の秘訣をまとめた太田壽城先生らの報告でも、①食事に気をつける、②規則正しい生活、③睡眠、休養を十分にとる、④こだわらない、⑤運動をする、が上位に入ります。食べて、動いて、笑う生活の大切さが伝わったでしょうか。

では何を食べたらよいのか?「炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良くとり、ビタミン、ミネラルを補給しましょう」とかよく言われます。サプリの宣伝では、筋肉や軟骨の成分を摂取すると筋肉、関節機能が改善するような印象画面が連日流れています。ホントかな?同じ理屈なら骨を強めるにはカルシウムをとればよいのでしょうか?脳は主にタンパク質と脂質でできていますが、マグロのトロや脂身の多い焼肉を食べるとボケ防止になるでしょうか?摂取した栄養素は分解されるし、期待の標的部位にたどり着くとは限りません。過剰分はオシッコからすぐに出ていくものもあります。普通に食事が摂れる人にとって、栄養は、痩せないことを目標に、それなりにバランスに配慮して摂れば十分と思います。カロリー不足でやせてしまうと筋肉が動員され、喪失しますから、炭水化物を十分摂ることが、筋肉を守ることにつながることもあるのです。 “痩せない”のがポイントです。糖尿病や太り過ぎの方はこの限りではありません。身長と体重のバランスで算出するBMIが24を超えると、食べ過ぎ注意報です。適量の運動を。

運動すると寿命が延びることは、ほぼ確立しています。アルツハイマー病にもパーキンソン病にもなり難く、たとえなっても進行が遅いことが明らかになっています。ではどれくらい運動すればよいか。毎日10000歩という目安があります。通勤とか仕事で動いても良いそうです。岡山県人は通勤が車なので、通勤での運動量が稼げません。学生さんのように自転車にしますか?毎日運動できない場合は週に2.5~5時間の運動でもよいそうです。運動の強さはあまり気にしなくてよいとの説があります。一方で、高齢者(60歳以上)の場合、同じ時間歩いてもより多くの力を使うため、より少ない歩数で同じ効果が得られると言われています。

さて、笑いの効用も広く知られるようになりました。ストレス緩和、免疫力増強。楽しくなくても作り笑いすると、同じ効果が期待できるそうです。デヴィッド・スノウドン著書「100歳の美しい脳」では20歳以後同居し、同じ活動、運動、食事をする687人の修道女を対象に経時的に知的機能や健康状態を調べ、死亡した場合は脳の病理をチェックした結果を記載しています。若いころの生き方と寿命の関係を調べたところ、前向き度が高いほど長命であることが示されました。

食べて、動いて、笑う。健康で充実した人生を手繰り寄せるキーワード。真理は簡明にあり。信じてみますか?