岡山市中区江崎の岡山脳神経内科クリニック|脳神経内科・内科

〒702-8005
岡山県岡山市中区江崎104番地-16

MENU

言葉が心に響くとき

前回、浦島太郎とは異なり、快楽に甘んじて日々を無為に過ごさないであろう人の代表にイチローさんを挙げました。そのイチローさん、先日米国MLBの野球殿堂入りが決まりました。(日本球界でも殿堂入り)ホームラン数で「世界の王」と言っても、それは日本での記録で、本場米国MLBでの記録とは比較できないとも言われる、その本場MLBで日本人初の殿堂入りですから、珠玉の功績です。今でこそ多くの若手がMLBにチャレンジしておりますが、イチロー時代には様々な障壁が国内にも、MLBにもあったのではないかと拝察いたします。先に道を切り開いた野茂さんの功績も大きい。

その受賞会見の言葉。殿堂入り決定投票が満票でなかったのを受けて「1票足りないというのは、凄く良かった。自分なりの完璧を追い求めて進んでいくのが人生だと思う。生きていく上で不完全だから進もうとできる。そこに向き合えるのは良かったなと思います」。不完全をもって良しとするのは日光東照宮建設の理念でもあります。完成は崩壊の始まりなので。

イチローさんに話を戻すと、大成への道を聞かれた時、「小さな努力の積み重ね」という内容もコメントしていましたよ。「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道」「3000本安打を達成したけれど、6000回以上の失敗がある。失敗から学んで欲しい」等、名言多数です。言い古された言葉に重なる部分もありますが、大成した人が自分の言葉で語ると、大きく響く。最近は高校生を幅広く指導しているようですが、若者の心を前向きにし、夢を後押しする優れた教育者です。大谷さんの「あこがれるのを止めましょう」も心に刺さりましたね。LA山火事鎮火に働く消防士さんへの感謝も、言葉数は少なくとも、現場には大きな励ましになったと感じる。苦難を乗り越えて成果を挙げ、感動をもたらした人々の言葉が心にしみ入るのに比べ、「選手のため」に無理を強いるパワハラコーチや、「記憶にありません」と言いつつ「真摯に対応する」と虚言を弄する方々の弁解はとても空虚です。

言葉は誰でも表明出来ますが、それが聞く人の心に響くのは、背景に裏付けとなる体験、知識、信念、そして聞く人へのリスペクトがある場合だと思えます。もちろん、聞く側の共感力も重要です。「バカの壁」があって、聞いても越えられないことがある。苦労を知らない人には苦労からにじみ出た言葉の真意が伝わらないかも。別の話題になりますが、誹謗・中傷、過大広告、悪意ある甘言や儲け話しには共感せず、惑わされない注意も必要です。